そろそろ今年度の昇任試験の合格者が決定したころではないでしょうか。配偶者が警部になることが確定してしまった方、不安に思っているのではありませんか?
正直なところ、警部になると、生活は明らかにガラッと変わります。警部補のときよりもはるかに時間の拘束は激しくなり、比べ物にならないほど忙しい。警察署の警部は、常に職場にいるような印象でした。
業務の量が尋常じゃなく、心を壊してしまう人も。
今回は、激務である警部になることが確定した方や、その配偶者に向けて、心得ておきたいことを解説していきます。
昇任試験を進めていくにつれ、これから迫りくる忙しい日常への覚悟は固まりつつあるとは思います。
警察官時代には、夫が警部になることが決定した同僚が不安に思っている状態を目の当たりにしてきました。
帰ってこられないことは覚悟しておくことが必要ですが、警部の働き方や研修の内容を工夫していかないと、家庭を壊す原因にもなりかねません。既存のシステムでは、なり手も少なくなるのが目に見えています。
このあたりも踏まえて、少しでも心の準備ができるような記事になっております。
こんな風に変わるんだということを少し意識しておくだけで、少しは気が楽になるはず。
ぜひ、最後までご覧ください。
警部と警部補の違い
まずは、警部と警部補は何が違うのか。警察官同志であればわかりますが、警察官以外の方には少しイメージがしにくいのではないでしょうか。
一言で言うなら、警部になるということは、警察組織の「運営側」に回るということ。
本格的な管理職になる、と言えばイメージしやすいでしょうか。
なぜ警部になるのか
単純に出世のためと言ってしまえば、それまでかもしれません。警察官は階級社会なので、昇任すればするほど権限は強くなります。
信念を持っている人ほど上に行った方がいいのは間違いありません。
ある程度現場での実績を積んだのであれば、上に行って指揮する立場になりたいと思うのも当然のこと。
何かを変えたいと思ったら、自分が上に行く方が近道ですから。
署長になりたいというのであれば、当然警部の階級は通らなければなりません。
ただ、部下の立場からは、ただ単に”出世したい”と思っている警部よりも、”現状を変えたい”と思っている警部の方が魅力的に見えるもんです。
”現状を変えたい”と思っている人には、人が付いてくるもの。
『なぜ警部になるのか』というのは今一度考えておくことは大事ですね。
警部になるためには
警部になるには、当然、試験をパスしなければなりません。
生半可な気持ちで受かるほど楽な試験ではないです。警部補の階級での年数も一定数必要になってきます。試験も警部補になるための試験とは格段に難しいし、範囲も広い。
生半可な気持ちでなれるような階級ではありません。抱える部下も警部補以下の階級を抱えることに。
警部・・・部下に警部補、巡査部長、巡査を抱える。たとえば、刑事課長はその警察署に1人しかいない。
警部補・・・部下に巡査部長、巡査を抱える。たとえば、刑事課の強行犯係長や盗犯係長など、係長は課内に数人いる。
【警察署の課に課長は1人しかいない】ということは、すなわちそれだけ責任が重大と言うことになります。
交通課長は1人だし、刑事課長も1人。そりゃあ、忙しくもなりますよね。課をまとめないといけないんですから。
警部は運営側になるということ
警部補は警部を補佐する仕事なので、いわば、プレイイングマネージャー。現場にも出るし、実績も上げないといけない。中間管理職の代表が警部補といえるでしょう。
警部になると、課全体の実績を見ないといけなくなります。
- 自分の課に誰を入れるのか
- どんな運営をしていくのか
今までは自分の係だけ見ていればよかったけど、警部になると、課全体をどう運営していくのかがその肩にかかってくるのです。
当然、呼び出しも日常茶飯事。詳しくは、こちらの記事に書いています。
そう考えると、警部になるってかなり責任重大な職なんですね。
配偶者が警部になったときに心得ておきたいこと
独身であれば、どんどん昇任したところで特に何も不利に働くことって無いと思うのですが。
独身の状態で警部まで行くパターンて、実はそれほど多くはないんですよね。なぜなら、どれだけ早くても、地方公務員の場合、警部になれるのは30代中盤です。
では、家庭を持った状態で警部に昇任したときに、一体どんなことが起こるのかということは、あらかじめ理解しておく必要があります。
そもそも、この記事を読んでいる時点で家庭を持っているパターンがほとんどなのではないでしょうか。
一番想定しておかなければならないのは、家庭のことは配偶者がメインで対応することになるってこと。
つまり、ワンオペ必至。
家庭よりも仕事が優先
先ほど、警部になると責任が重大になるとお話ししましたが、当然のことながら、家庭よりも仕事が優先になります。
大きな事件が起こっているにも関わらず、『定時なので帰ります。』っていうのは、課長であれば通用しません。
これは致し方ないこと。どうしても仕事を優先する場面が多くなることは、覚悟が必要です。
ということは、子育てから家事全般、配偶者が担当することになります。
なかなか、ハードですね・・・。こちらの記事もぜひ読んでみてください。
単身赴任も覚悟しておく
警部はもはや組織の運営側なので、転勤の感覚が短くなります。
おおむね1~2年ごとに異動があります。警部になりたてだと、実績を積むために少し田舎の警察署に配属されることも多々あります。
そうなると、とてもじゃないけど自宅からは通えない。単身赴任の始まりです。
警部になると、基本給は上がりますが、単身赴任という二重生活で結構苦しいと嘆いていた課長が多くいました。それはたとえ、安い官舎に入ったとしても。
単身赴任が付きまとうとなると、警察官はマイホームを少し慎重に選んだ方がいいと思います。こちらの記事も参考にしてみてください。
【PR】解決策はストレスの解消法を見つけること
本人自体がストレスを抱えることは理解できますが、意外と注目されないのが、家族のストレス。
警部になったら家庭は顧みないものだという暗黙のルールがあるように思えてなりません。
- 家庭よりも仕事を優先せざるを得ない
- ワンオペ必至
- 単身赴任は覚悟
こんな状態では、家族のストレスはたまる一方ですよね。
本人は当然ストレスと戦わないといけませんが、残された配偶者自身や家族のストレス解消法は見つけておくに越したことはありません。
相手を当てにしないというのも1つの選択肢。あまりよくはないけど。
家事なんて、基本、適当でいいんですよ。
ただ、ストレスを溜めたくないのであれば、綺麗な家でいることって実はすごく大事なんですよね。最近、掃除の大切さについて気付いたのでぜひこちらの記事もごらんください。
『掃除なんかワンオペの状態じゃできないよ!』って思ってしまいがちですが、別に自分でやる必要なんてないですよ。
そんなときは、家事代行サービスを頼んでしまえばいいんです。
家事代行って日本ではハードルが高く感じがちですが、家事を外注していると考えれば、経済を回しているのと同じ。
ワンオペ必至だからこそ、手を抜くべき時は抜いてしまいましょう。
Casy(カジー)は、基本的にその場で相談しながらお掃除をお願いすることができちゃいます。普通の家事代行サービスより低価格で、比較的利用しやすいサービスです。
警部になってしまった配偶者を頼るより、よっぽど頼りになるかも。
プロの手を借りるのは、悪いことではありません。月に1回でも利用してみてはいかがでしょうか?
警部になった本人が意識しておきたいこと
警部になる道を選んだ以上、しっかり職務を全うしなければなりません。
ただし、部下からの信頼がないと、警部が仕事での成果上げることは決してできません。幹部になったからこそ、自分の課の職員の環境を整えてあげることができる。
自分が部下でいた立場だったとき、どんな上司がよかったのかは、絶対に意識しておいた方がいいでしょう。
家族を顧みない幹部はナンセンス
警部だから、家庭はないがしろにしていいわけではありません。むしろ、きちんと家庭も大事にする幹部だと、部下は安心するものです。
仕事を優先しなければならない場面が多い警察官だからこそ、忙しくないときはきちんと家族を顧みてください。
プライベートが充実していないと、いい仕事はできませんよ。
上ばかり見た仕事をするな
自分が警部補だった時代もあるはずです。そのとき、どうでしょう。上司の動向ばかり気にする警部は嫌だったのではないでしょうか。
警部になると、警部補のときよりも仕事の内容は難しくなり、どうしても上の動向が気になってしまうもの。とはいえ、上司(署長)の指示をそのまま落としてくる課長は、部下からの信頼を失いがちです。
部下が働きやすい環境は課長が作るしかありません。
部下が働きやすくなれば、それだけ実績も上がるものですよ。
部下だった立場から言わせていただくと、信頼できる課長だと、仕事も頑張れるので。
体調管理を十分に意識する
当直主任で非番であったとしても、執務時間は残っていることが多いですよね。当然、執務時間内の責任者は課長だから。でも、それは少しずつ変えていかないといけないと思うんです。
他の課の課長で対応するなり、さらにその上の警視が対応したっていい。
非番で帰れる組織を構築していくことが、何よりも大事なのではないでしょうか。
体力を温存することも仕事のうちです。
特に、警部になると自分の体よりも仕事を優先してしまいがち。自分の体は何よりも大切にしてください。
警部と警部補の違いは?配偶者が警部になったときに心得ておくこと まとめ
警部になるということは、組織をより良いものにしていく力を付け始めたと言っても過言ではありません。
その反面、配偶者や家族には負担がかかっているのも事実です。家族への負担がかかっているうえで、警部の仕事ができているということは、決して忘れてはなりません。
職員が働きやすい環境を作っていくことも、運営側の義務ですよね。
単身赴任は必要なのかもしれませんが、見直すべき時が来ているということを意識していった方がいい、と個人的には思います。
今や、幹部であっても不祥事を起こしています。幹部の不祥事ほど現場の警察官をがっかりさせることはありません。
どうか、不祥事を起こすことのないように。思いとどまらせてくれるはずの家族を大事にしてください。
家族だから、警部を支えなければならないということだけでなく、警部になったからこそ、家族も大事にできる働き方を考えるときなのかもしれません。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
コメント